美術館
概 要
展覧会
案 内
年 間
スケジュール
利 用
案 内

星襄一 《森に棲む月》 1957 木版画

生誕110年 木版画家 星襄一 展Ⅰ

―― 光を求めて ――

 

2023年 4月1日(土)~ 6月4日(日)


1957(昭和32)年、星襄一(1913-79)は東京で木版画家として歩み始めました。前年に武蔵野美術学校(現 武蔵野美術大学)を42歳で卒業、その後独習した木版画。稼業を捨てた星には、もはやその道しかありませんでした。
先の見えない闇の中、悲壮な覚悟を持った門出に支援の手を差し伸べたのが、同年8月に十日町市の有志が立ち上げた「星襄一後援会」です。この会で頒布したとみられる作品に同年の《森に棲む月》があります。シンプルな刀の彫りで表された森の中を彷徨うような月の姿が、迷いを抱える当時の星自身の姿に重なり、森の木々は月を閉じ込める檻のようにも見えます。
星は、その後しばらく時流に乗った抽象作品も手掛けましたが、「絵は誰にもまずわかって頂かねばならないという反省から、徐々に抽象表現から離れつつ自分の道を模索してきました」と述懐しています。1965(昭和40)年、迷いの雲間から現れたのは自身の姓の「星」、幼い頃に故郷で見た「こわいような満天の星空」への憧憬という原点回帰でした。星をテーマとすることで、光の表現が始まります。星の遊び心が星々の輝きを生み出し、星々は光を放ちながら連なり、星座を形作り、やがて銀河となって地上へ降りていきます。


星襄一 《銀河ラプソディ》 1970 木版画

1970(昭和45)年には、1957年の《森に棲む月》の版をバーナーで焼き、さらに版を加えるなどして新作として発表しています。ここにおいて、月はもはや森に潜んではいられない程皓々と光を放ち、縛られるものなど一切ありません。
銀河とともに地上へ降りて来た星の視線。地上に光をもたらすのは星だけではなく、太陽の光がありました。茜色の雲がたなびく金色の空を背景に赤く染まる木々、1971(昭和46)年に発表されたこの鮮烈な《赤い木》から樹のシリーズは始まります。地上で「星」と同じ思いを託せるモチーフとして登場した「樹」。地上に降り来ることで太陽の光を手に入れ、さらに金銀箔を効果的に用いることで星襄一の「樹」は唯一無二の表現を手に入れたのです。
遅い出発から20年余、一気に駆け抜け約400点もの作品を残した星襄一。今展では、自身を信じ、光を求めて道を探り続けた星の姿を、約50点の作品を通して追っていきます。

会  期  2023年4月1日[土]~6月4日[日]
開館時間  9:30~17:00(入館は16:30まで)
休 館 日  火曜日
入 館 料  一般500円、小・中学生200円
 ※障がい者手帳(ミライロID含む)提示で各100円引

右上:宮澤光造《風の子》2004 花崗岩
右下:吉村貴子《芽ぶきのうた》(部分)2006 花崗岩
左:塚本悦雄《マチウサギ》2011 花崗岩
写真提供=十日町石彫シンポジウム実行委員会

十日町石彫プロムナードの作家たち2023

―― 宮澤光造・塚本悦雄・吉村貴子 ――

 

2023年 6月9日(金)~ 7月30日(日)


現在、十日町市街地の通りや街角で目にする多くの石の彫刻作品は、1995~2014年の20年にわたり開催された「十日町石彫シンポジウム」で、制作・設置された作品です。猛暑の夏にも豪雪の冬にも耐え、すっかり街の風景に溶け込み、十日町を特徴づける景観のひとつとなっています。


宮澤光造 《冬の朝》(部分) 1998 花崗岩[十日町市本町4]

当館では、実に86点にもおよぶこの作品群を作り出した作家一人ひとりにスポットを当ててご紹介するシリーズ展「十日町石彫プロムナードの作家たち」を、2014年から毎年開催しております。

          
塚本悦雄 《マチウサギ》 2011 花崗岩[十日町市本町2]

10回目となる今回は、やわらかな表情で石に陽だまりのようなあたたかさを表現する宮澤光造、博物学的な視点でモチーフを選び造形へのこだわりを見せる塚本悦雄、石とガラスそれぞれの個性を活かし表情豊かに作り上げる吉村貴子 ―― 3名の作家の作品展となります。
街なかの作品とあわせて、ぜひお楽しみください。

吉村貴子 《芽ぶきのうた》(部分) 2006 花崗岩[十日町市駅通り]
宮澤光造さん、塚本悦雄さん、吉村貴子さん 石彫作家ギャラリートーク開催
  日時: 7月1日[土] 14時~
  会場: 星と森の詩美術館 展示室  ※入館料が必要です。


《 十日町石彫プロムナードの作家たち 2023 》
《 没後10年 人間国宝 天田昭次 》チラシ


【 同時開催 】

没後10年 人間国宝 天田昭次 展


重要無形文化財「日本刀」技術保持者であり、日本刀の最高峰といわれる鎌倉時代後期の刀剣の地鉄に魅せられ、その煌めきを追い求めて、生涯をかけて自家製鉄の研究を続けた天田昭次(1927-2013)の展覧会を開催いたします。
天田は古刀五ヶ伝と称される特徴的な5つの作風のうち、山城伝・相州伝・備前伝の3つの作風でそれぞれ現代刀剣界の最高賞である正宗賞を受賞しました。今展では、備前伝の正宗賞受賞作と、天田が生涯の傑作とした山城伝の太刀「末広」をはじめとする館蔵の13口を、会期中に一部作品の入れ替えを行ないながら展覧いたします。


太刀(号 末広)「天田昭次作之 / 平成八年八月八日」

会  期  2023年6月9日[金]~7月30日[日]
開館時間  9:30~17:00(入館は16:30まで)
休 館 日  火曜日
入 館 料  一般500円、小・中学生200円
 ※障がい者手帳(ミライロID含む)提示で各100円引

石彫作家ギャラリートーク

【参加作家】 宮澤光造さん、塚本悦雄さん、吉村貴子さん
【開催日時】 7月1日[土] 14時~
【開催場所】 星と森の詩美術館 展示室  ※入館料が必要です